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Asian Journey

【Asian Journey3-2】360° フォトジェニック! マカオの古き良き街並み 世界遺産・マカオ歴史市街地区散策

駆け抜ける世代はもう過ぎ去りました。休むこと、時に立ち止まること、なにより旅をすることは今だからこそ必要なのです。目指すは近くて実は未知なる土地、アジア。Asian Journey、特別だけど手に入りやすい旅、なにより「楽しかった」「行ってよかった」と思える土地、ホテル、時に人をご紹介します。第3弾は新時代のラグジュアリー・リゾート 大人が恋するワンダーランド マカオをお送りします。

大人が恋するおとぎの国 マカオ

先に求めるのは美しいこと、おいしいこと。そして胸躍ること。Voyagerが提案するワンダーランドマカオをひと旅訪れれば、その魅力に日常を忘れ、沢山のサプライズに驚き、圧倒され、すっかり恋してしまうはずです。こでまずは360℃フォトジェニック、様式も彩りもカラフルな街並みをご紹介します。

セナド広場の仁慈堂(世界遺産)。1569年、初代マカオ司教によって設立。ポルトガルで最も著名かつ古い慈善団体の建物をモデルに建立された。一日中賑わいがあり、夜のライトアップタイムもまた美しく趣がある

ジノ文化を育むマカオはセキュリティが万全。2017年の1人あたりの国内総生産(GDP)は日本の3万8000ドル(約420万円)に対して8万ドル(約880万円)と2倍以上あり生活水準が高い上、失業率も1.8%と低く恵まれた環境にあります。そのため犯罪も少なく治安が安定しているのも大きな特徴。穏やかな空気と雰囲気に安心して散策ができます。

歩きの道しるべはアズレージョというポルトガル式のシャレた絵タイルです。

ポルトガル文化を代表する白いタイルに濃紺の文字の道しるべ。マカオのシンボルのひとつに数えられコロニアルスタイルの街角と調和している

【主な道しるべの表記】

中国語 ポルトガル語 日本語
①大馬路 Avenida 大通り、メインストリート
②馬路 EstradaまたはIstmo ①よりも狭いが比較的広い通り
③街 Rua ②よりも狭い通り
Travessa 小道
斜巷 Calçada 長い坂道

字とポルトガル語で表記されている分覚えやすいので地理も地名にもすぐに親しめます。

マカオ歴史市街地区散策

カオは、マカオ半島、そして橋を隔ててタイパ(氹仔)地区コタイ(路氹)地区コロアン(路環)地区の4つのエリアに分かれます。とはいえ面積は現在30.8㎢。バスや車で移動しても数十分で、タクシー代などの料金も日本と比べて安価なため速やかに移動できるのが利点です。

ずご紹介したいのは2005
年に中国31番目の世界遺産に登録されたマカオ歴史市街地区です。その30か所(22の歴史的建造物と8カ所の広場)の史跡は皆美しく、マカオの歴史の一端を物語っています。味わい深いのはポルトガル統治時代に刻まれた歴史と文化。中国でもっとも古く、もっとも完全な形で現存する中国(東洋)とポルトガル(西洋)の建築遺産が菩提樹や榕樹の合間に麗しい風景のグラデーションを作り出しています。

マカオ歴史市街地区 一覧
 icon-check 媽閣廟   icon-check 港務局   icon-check リラウ広場  icon-check 鄭家屋敷  icon-check 聖ローレンス教会  icon-check 聖ヨセフ修道院及び聖堂  icon-check 聖オーガスティン広場  icon-check ドン・ペドロ5世劇場  icon-check ロバート・ホー・トン図書館  icon-check 聖オーガスティン教会  icon-check 民政総署  icon-check セナド広場  icon-check 三街會館(関帝廟)  icon-check 仁慈堂  icon-check 大堂(カテドラル)  icon-check 盧家屋敷  icon-check 聖ドミニコ教会  icon-check 聖ポール天主堂跡  icon-check ナーチャ廟  icon-check 旧城壁  icon-check モンテの砦  icon-check 聖アントニオ教会  icon-check カーザ庭園  icon-check プロテスタント墓地  icon-check ギア要塞(ギア教会とギア灯台を含む)

界遺産めぐりというと広大で時間がかかるようなイメージがありますが、ここはコンパクトな都市マカオ。場所もマカオ半島の西南に位置し約2㎞に集中しているので簡単に散策できてしまいます。早速歩いてみましょう。

媽閣廟

正門、中国式鳥居、正殿、正覚禅林殿、引仁殿、観音閣で構成されている。道教、儒教、仏教他、複数の民間信仰の神仏が祀られるのも特徴

の守護神と信仰される阿媽を祀る媽閣廟は貿易によって栄えたマカオを語るにおいて欠かせない女神です。また中国語の「マァコッミュウ(媽閣廟)」という呼び名が「マカオ(澳門)」という地名の発祥となったと言われています。媽は他に媽祖、天后、天上聖母他の名で尊ばれ福建省から中国全土に広がり、台湾、香港、マカオ、そして日本へと媽祖信仰が広がり、アジア各国で信仰が篤い神様です。

媽閣廟  A-Má Temple
住所: Rua da Barra, Macau(Barra Square)
開門時間:7:00~18:00(無休)

方、ポルトガルによってキリスト教がアジアに伝来したのは15世紀中頃のことでした。20世紀まで続くポルトガル統治時代にキリスト教はマカオに深く根付くことになります。

聖ポール天主堂跡

一日中多くの人を集める象徴であり、街の祭壇的存在

1602年~1640年にかけて建設された聖母教会、そして教会の隣に建てられた聖ポール大学跡の総称が聖ポール天主堂跡です。1835年に火事で焼失した聖母教会、東洋初めての西洋式大学だった聖ポール大学、モンテの砦は全てイエズス会による建築物でした。

カオのシンボル、聖ポール天主堂跡のファサード(正面壁)には頂上のラテンの十字架、キリストとマリア像、他にブロンズ製の聖霊を意味する鳩、キリストの受難の象徴である「イバラの冠」「鞭」「金槌」、聖フランシスコ・ザビエルや福者フランシスコ・ボルジャたちなど、21個のモチーフは石に刻まれた説教と言われ聖霊やイエズス会の聖人があしらわれています。

35年の歳月をかけて大きな石(幅20㎝×高さ19㎝)を組み合わせて作ったファサードと階段部分だけ燃え残った

たファサードの左奥には同じく世界遺産の旧城壁、裏手には道教の神、神童ナーチャ(哪吒太子)を祀るナーチャ廟ナーチャ展示館があります。『西遊記』に登場するナーチャは、宋の時代には道教の最高神とされた玉皇上帝の命により托塔天王と共に孫悟空の討伐に向かった少年神です。神兵や神将の統帥と考えられ敵が攻めてきた際にナーチャに祈ると姿を現し敵を撃退すると伝えられます。このようにキリスト教、道教や仏教など信仰の自由さを見せるのもマカオの多様性に数えられます。

聖ポール天主堂跡 Ruins of St.Paul’s
住所:Company of Jesus Square
開館時間: 天主堂跡 9:00~18:00 (最終入館は17:30)/天主教芸術博物館 09:00~18:00 (最終入館は17:30 火曜14:00以降休館祝祭日は開館)

 ポール天主堂跡周辺の路地もまた味わいある情景が続きます。中でも戀愛巷という路地はそのロマンティックな名称と雰囲気で恋人たちを呼び寄せています。

聖ローレンス教会

階段の内番上で祈る天使の像はかつて順風を祈った人々の真心を彷彿とさせる

拝堂の黄色と水色、さらにステンドグラスのさし色が美しい聖ローレンス教会は3つあるマカオでもっとも古い教会のひとつで現在の外観、規模は1846年に建てられバロック調の装飾が施されています。

聖ローレンス教会 St.Lawrence’s Church
住所:Rua de São Lourenço (access from Rua Da Imprensa Nacional)
開館時間: 7:00~21:00

所は海を見渡せる南湾に位置し、かつてポルトガル人船乗りの家族は教会の表階段に集まり、彼らの無事の帰宅を祈ったと言われたことから風順教会とも呼ばれています。貿易業、漁業と天候に命を委ねるマカオに住むということは道教やキリスト教他、信仰心が大きな支えであるのを窺い知ることができます。

聖ヨセフ修道院及び聖堂

1800年、ポルトガル女王ドナ・マリア1世(在位1777年~1816年)から「伝道信徒団の館」という王家の称号が与えられた由緒ある教会

ポール天主堂跡に以前あった聖ポール大学と共に1728年に創設された聖ヨセフ修道院もまた美しく歴史ある教会です。中国、日本をはじめ近隣アジアにおける宣教活動の主要拠点となりました。堂には聖フランシスコ・ザビエルの右上腕骨の一部が祀られていることでも知られています。

聖ヨセフ修道院及び聖堂 St.Joseph’s Seminary and Church
住所:Rua do Seminário
開館時間: 聖堂 9:00~18:00 (修道院は非公開)

リスチャン・シティとして広く知られるマカオ歴史市街地区ですが、先に紹介した媽閣廟、ナーチャ廟に加えて三街會館(関帝廟)、盧家屋敷、さらに鄭家屋敷に中国文化が色濃く残されています。

鄭家屋敷

中庭の中央には休息のための石のベンチが設えてある

ウラ広場(亞婆井前地)近くにある中国の文豪、鄭観應が住んでいた鄭家屋敷は約4,000平方メートルの広さの私邸。2001年にマカオ政府の文化遺産に指定された際、8年間の歳月をかけて大がかりな修復を施し2010年に公開に至りました。

人、教育家でもあった鄭観應は広東省香山で生まれ、のちに上海で商売を学びました。その際、多くの外国人と交流を持ったことにより祖国を強くするためになにをすべきかを考え続け、晩年マカオに閑居した折に『易言』の改訂に専念。上海時代に模索した人材養成の重要さを説いた『盛世危言』をこの屋敷で書き上げました。

(左)書斎の入口付近の装飾などには書、文学、絵画、琴=音楽などの教養を身につける大切を説いている(右)鄭観應に関する資料スペースもある

ちに鄭観應の子孫によって改装、改築が重ねられていますが灰色レンガ造りで二階建て、中庭がある長屋スタイルは伝統的な中国式住居。エントランスの円形の出入り口、弓型の装飾、インド式の真珠貝の窓枠に中国式の格子造りを組み合わせるなど中国と他国の装飾を調和させています。子孫は1950〜60年代になるとここを離れ余った部屋を住民に貸し出し、多い時で300人以上が居住していました。


館内には修復資料や鄭観應に関連する資料スペース、グッズショップがあり、またワークショップの開催や土日限定の広東語によるガイドツアーなども催されています。

盧家屋敷 Mandarin’s House
住所: No 10, Travessa de António da Silva, Macau
開館時間:10:00〜18:00 (最終入館17:30 水曜休館、祝日の場合は開館)
入場料::無料
電話番号:+853 2896 8820
ウェブサイト: http://www.wh.mo/mandarinhouse/
※ガイドツアーは事前にオンライン予約をしてください

の他、マカオ歴史市街地区にはまだまだ歴史的住宅が点在。さらに世界遺産認定からは漏れたもののマカオを語るに欠かせないスポットがあります。

、セナド広場にあるマカオ政府観光局のツーリスト・インフォメーションでは主要観光スポットの詳細を知ることのできる日本語によるオーディオガイドの無料貸出しをしています。散策の際にお役立てください。

マカオ政府観光局(セナド広場)
営業時間: 9:00~18:00
電話: +853 8397 1120

回、1月15日(火曜日)はマカオの美食の数々をご案内します。

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■情報はアイコンをクリックしてマカオ政府観光局とキャセイパシフィックで

協賛(順不同・敬称略):マカオ政府観光局キャセイパシフィック
資料提供:マカオ政府観光局
参考文献:窪徳忠著『道教の神々』 (19講談社学術文庫)
写真・文:泉美咲月(Satsuki Izumi)

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