本を持って旅にでかけよう。心に沁みる言葉、物語、もしかしたら人生を変えるかもしれない一冊をご紹介。
「縁」と「情」を描く、怖さと毒
夢心地を漂い、非日常を流れる旅とショートショートはよく似ている。そして、僅かな時間で完結する物語は、現実逃避という日々の”旅”にも最適だ。
2015年にスタートした第1回ショートショート大賞を受賞した堀真潮による『夢と気づくには遅すぎた。』は5章、18篇からなる一冊。「美」「若さ」「母子」「恋愛」他、女性に纏わるテーマをもとに、数々の「私」が覗き見てしまう奇妙な世界が描かれている。
美術館で声をかけてきた女を若さや価値観で判断する不躾な男と「私」の『年齢不詳』。毎日、母親が作る”目玉料理”を食べ続け、予言の力を持つようになった「私」の『目玉』。友だちの誰よりも素敵な夫が持てるように「私」の願いを叶えてくれた『絶対短冊』。結婚生活の最中に手に入れた「私」と繋がる余計な「縁」を切ってくれる『縁切包丁』など、それらは鏡の向こうや水面に映る、日々の暮らしとよく似た形をした“まやかし”のように見える。だが一方で誰もが心の奥に沈めている”毒”を紡いだかのようにリアルに響いてくる。
本書概要
『夢と気づくには遅すぎた。』
【目次】
第一章 より美しく/第二章 解けない呪縛/第三章 怖い職場/第四章 恋愛奇譚/第五章 これからの私
著者:堀真潮
出版社:キノブックス
装画:戸屋ちかこ
装幀:小川恵子(瀬戸内デザイン)
定価:1,300円+税
仕様:208ページ/配本日:2019年2月2日/ISBN:978-4909689269
<著者プロフィール>
堀真潮(ほり・ましお) 作家。神奈川県在住。2016年、処女作「瓶の博物館」で第1回ショートショート大賞を受賞。同年12月、ショートショート作品集『抱卵』(キノブックス)でデビュー。WEB連載や企業広告への作品提供など幅広く活躍。
Ⓒ夢と気づくには遅すぎた。 堀真潮/キノブックス
協力:キノブックス
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