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【Asian Journey4-5】世にも美しい海上モスク&『アンコール・マラッカ』で知るマラッカの歴史 ~マラッカのナイトシーン~

駆け抜ける世代はもう過ぎ去りました。休むこと、時に立ち止まること、なにより旅をすることは今だからこそ必要なのです。目指すは近くて実は未知なる土地、アジア。Asian Journey、特別だけど手に入りやすい旅、なにより「楽しかった」「行ってよかった」と思える土地、ホテル、時に人をご紹介します。第4弾は大人が旅する初めてのマレーシア 5泊6日のマラッカ&クアラルンプールをお送りします。

絶景 海に浮かぶモスク

<マラッカ宿泊 夜のおススメ・スポット>
日没に合わせて マラッカ・ストレイツ・モスクへ
20:00  アンコール・ムラカ・シアターで『アンコール・マラッカ』鑑賞

れまでのマラッカ観光はクアラルンプールから日帰りの観光が主とされてきました。日本人ツアー客の多くは半日ツアーを利用。往復約3時間の道のりと数時間(3~4時間)の主要スポットめぐりがせいぜいで、残念ながらマラッカの魅力が伝わりきれてない傾向にあります。しかし、もうお気づきでしょうが、ここはマレーシアの京都とまで言われる歴史と文化に溢れた街。快適なホテルステイも約束されていて、泊まらない選択肢はなにもないのです。

宿泊をおススメする理由のひとつでもある、夕暮れから夜の時間帯を彩るスポットをご紹介します。まずは近頃、話題のマラッカ海峡の海上モスク『マラッカ・ストレイツ・モスク(Melaka Straits Mosque)』(以降モスクと表記)から。マラッカ海峡の夕焼けがいかに最たるものかは、沢木耕太郎著『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』(初版 1986年)にも綴られ、日本にも広く知られるきっかけになりました。近代のマラッカは埋め立て開発が進み、当時の景色とは変化しているもののモスクの建築によりあらたな風情が加えられました。

強い日差しに映える、白亜の壁、ステンドグラスなどの日中の姿も一見の価値あり

レーシアの主とする宗教はイスラム教。1957年、マレー半島地域がにマラヤ連邦として独立する際、唯一の公式宗教とする立憲君主国であることが定められ、61%の国民が信仰しています。そこで欠かせないのが祈りの場、モスク。そして『マラッカの島(Pulau Melaka)』という名の人工島に、マレーシアではめずらしい海上モスクが完成したのは2006年11月のことです。くに潮の満ちる時刻は海の上に浮いているように見えることから「フローティング・モスク」の愛称でも呼ばれ人気。マラッカの新ランドマークになっています。早朝から就寝前までの5回ある礼拝(サラート)の時間以外は、観光客も建物内を見学することができます。

運が良ければ水平線に雲がなく、オレンジのような太陽が海に沈んでいくのが見られる。なお礼拝時間&日没時間は日によって異なるため予め調べてでかけたい

して現在、とくに話題になっているのがトワイライトゾーン。夕暮れ時、太陽が空と海を焦がして沈んでいく頃になると、モスクはグリーンにライトアップされます。夕刻の祈りの時間と日没のタイミングが合えば波や風に乗って祈りの時間を告げるアザーンが聞こえてきて、殊更美しく情緒があります。

ライトアップが波間も照らし、美しく浮かび上がる

スク見学の際はイスラム教の戒律により服装制限があります。男性は短パン、ランニング、ノースリーブ禁止。女性は顔と手以外を隠す決まりがあり、無料で『アバヤ』と呼ばれる着衣がレンタルできます。プラナカン文化の本場、マラッカならではのバティック(ろうけつ染め)の『アバヤ』が提供されます。

またタクシー、自転車、徒歩などアクセスが可能ですが、郊外に位置するため、夕刻以降の徒歩、一人歩きはお控えください。なお、宿泊をおススメしているホテル『カサ・デル・リオ・マラッカ』にて片道20リンギットでモスクへの送迎が手配できます。日によっては数十人の観光客がライトアップに訪れます。あらかじめ迎えの手配をしておくことが賢明で安心です。



没から紺碧、黒へと空と海の色が変わる頃がまさに絶景。息を飲む海辺の風景をご堪能ください。

マラッカ・ストレイツ・モスク
【Melaka Straits Mosque】
住所:Jalan Pulau Melaka 8, Taman Pulau Melaka, Melaka, Malaysia

アンコール・マラッカで紐解くマラッカの歴史

2018年7月7日に開業した東南アジア最大と言われる巨大劇場 写真提供:アンコール・マラッカ・シアター

2018年の開業以来、アジア各国から注目を集めているのが『アンコール・マラッカ・シアター』。チーフ・アーキテクトには国際サミット会場から劇場などを広く手掛ける北京建築デザイン研究所のGe Wang氏が就任。音楽からデザインまで幅広くその才能を発揮する鬼才によって、純粋さと永遠を表現する白と青の建物が生まれました。なんといっても520,000㎡の敷地には2,007人を収容する大劇場は圧巻。中には円形のステージをぐるりと360度回転する観客席、そしてオーディションによって選ばれたすべて18歳から63歳のマレーシア人200人の出演者と、すべてにおいてスケールの大きい、東南アジアでは類を見ない空間です。

設者はマレーシアで広く不動産開発を務めるヨンタイ(Yong Tai Bhd)のCEO、Datuk Wira Boo Kuang Loon氏。世界遺産認定で賑わいを取り戻したマラッカの観光事業の一環として、ラスベガスやNYに迫るエンターテインメントビジネスを手掛けるインプレッション事業を立ち上げました。現在もエンターテイメント、ショッピング、食事、芸術、文化提供するツーリスト・コンプレックスとして開発中です。

出家兼プロデューサーは2008年に開催された北京夏季オリンピックの開会式と閉会式を手掛けたWang Chaoge氏が”アンコール・マラッカ インプレッションシリーズ”と呼ばれる舞台を作り上げました。日々上演されているのは、マラッカ州に伝わる伝説や歴史ををベースとした70分のショー。のストーリーの一部をシニア・セールス・マネージャーのKoh Mei Hwaさんに伺いました。

Koh Mei Hwaさん。ツーリスト・コンプレックスを手掛けるヨンタイ社は10年の計画でこの土地の開発に力を注いでいて、その先駆けが『アンコール・マラッカ・シアター』だと語る

「マラッカ王朝はスマトラからやってきたパラメスワラ王子によって開かれたと伝えられます。ある時、王子は犬と狩りで出かけ、鹿を川淵まで追いつめたものの、鹿は犬を後ろ足で蹴り、犬を川へと落としてしまいました。しかし、その鹿の様子に感動した王子は、そこに居合わせた人に”ここはなんという場所ですか?”と尋ねました。王子は木の下にいたため”王子さまはマラッカの木の下におります”と答えたそうです。地名と樹木の名前を双方勘違いしたんですね。それが由来して、この土地がマラッカと名付けられました。ショーではそうしたマラッカ王朝の始まりのエピソードやババ・ニョニャ文化、戦乱などのこの地方の歴史と文化を綴っています」

プロジェクション・マッピングによる演出でマラッカ王朝の誕生に立ち会うような神秘的な気分に

あり、踊りありのステージはプロジェクション・マッピングや高度な照明技術、音響によって華やかに演出され規模も相まって壮大な印象を残します。数十名に及ぶ群舞、伝統的な太鼓の連打、そして大量の水(量は非公開)が降る中のダンス……。字幕はありませんが、公用語であるマレー語、英語、そして中国語によって進行するため、ニュアンスを十分に知ることができ、一度に歴史と文化を深く知ることができます。

色とりどりの民族衣装ケバヤを纏ったニョニャ(女性)たちの舞

転する客席はマラッカの時空を旅する感覚をより強くし、まるで時代絵巻を見るようです。観光を楽しくするために欠かせないばかりか記憶に残る時間を過ごせます。上演時間は平日(月曜美~土曜日)、日曜日によって変わり滞在日によって選ぶことができます。チケットは予めオフィシャルサイトで購入できる他、宿泊するホテルによってはコンシェルジュからの予約・送迎が可能です。

アンコール・マラッカ公式HP

アンコール・マラッカ
【Encore Melaka】
住所:No. 3, Jalan KSB – Impression 8
電話番号(英語対応):+60 6-270 7777
開演時間:月曜日~土曜日 17:30 or 20:30/日曜日 14:30or17:30
チケット:スタンダードシート(外国人用) 148リンギット/プレミアムシート(外国人用) 248リンギット
※宿泊をおススメしているホテル『カサ・デル・リオ・マラッカ』の宿泊とチケット、送迎のセットはこちらから

回はいよいよ、魅力溢れるマラッカの世界遺産をご紹介します。

レート:2019年5月現在 1リンギット=26.96 円

協力:アンコール・マラッカカサ・デル・リオ・マラッカ
協賛(順不同・敬称略):マレーシア政府観光局セランゴール州政府観光局エアアジアX
資料提供:マレーシア政府観光局アンコール・マラッカ
参考文献:ザイナル・アビディン・ビン・アブドゥル編野村 享訳『マレーシアの歴史』 (山川出版社)
写真・文:泉美咲月(Satsuki Izumi)

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